英会話では細かい文法に気をとられないように

英語で会話をするためには、単語を組み合わせて表現するための英文法が必要になります。ペラペラしゃべるためには必要になりますので、マスターするようにしましょう。


しかし、正しい文法を覚えても、会話で正確に使うのはまた別の難しさがあります。いきなりスラスラと正しい文法に従って文章を組み立てることはなかなか難しいと思います。


英会話をはじめてよくありがちなのが、正しい文法を意識するあまり、何回も同じ文章を繰り返し言ってしまう事です。たとえば、「私は昨日公園に行ったんだ。」と言いたいときに、


I go to the ・・・　というところまで話し終えたときに、そういえば昨日の話だから goの過去形の「went」を使わなきゃと気が付きます。


I went the park　・・・　といいなおしたときに、そういえば「went to」という使い方が正しく、to を抜かしちゃったと思ってさらに言い直す・・・というようなパターンです。


おそらく、I go to the park yesterday.と言ったとしても、I went the park yesterday.と言ったとしても、高い確率で通じます。ネイティブには若干の違和感を感じるのかもしれませんが、大丈夫です。むしろ、小さな修正を何回も繰り返して言うほうが、相手にストレスを与えてしまうでしょう。


昔私が大学院で研究をしていたときに、カナダ人の研究者の方が同じ研究室にいました。


そのカナダ人は日本の研究者（Ａ氏）と一緒になって研究を進めていて、もちろん会話は英語でした。


Ａ氏はとても几帳面な性格の人で、時制の違いや三単元などの文法を正しく使いたいと考えているのか、話し始めて文法が間違っているのに気が付くと、文の最初から話し始めるというスタイルでした。一つの文が終わりに近づいていても、話し間違えると最初から話し始めるので、とても時間がかかってしまいます。


Ａ氏はその後しばらくして別の研究室に移っていきました。彼がいなくなった後、私がそのカナダ人と話をしているときに、Ａ氏の話題になりました。カナダ人曰く、「彼は細かい文法にとらわれて、間違ったら最初から話し始めるのでとてもまどろっこしかった。」と、苦笑いをしていました。「文法を気にするよりも、その先を早く言ってくれ。」というようなことも言っていました。


普段の会話のときのことを想像するとわかりやすいかもしれません。日本人同士で日本語を話す場合には、なかなか文法を間違えることはないかもしれませんが、間違えるたびにいちいち最初から話直したら鬱陶しいかもしれませんね。少々の間違いは頭の中で修正しながら聞けるので、早く全体を聞かせてくれと思うのではないかとおもいます。


英文法を無視して話そう、と言っているわけではないことをご了解下さい。研究発表の場やビジネスなど、正確性が要求される場で、「言っていることがわからない」、と外国人から直接指摘されている場面を何度か見たことがあります。正しく内容を伝えるためには、正しく文を組み立てるための文法はどうしても必要です。


Ａ氏はある程度英語が出来る人でしたので、使う単語は正しいものでした。ただそれが、過去形を使うか現在形を使うか、現在完了を使うか、三単元のSが抜けたかどうかなど、細かいところにこだわりすぎたということです。


ネイティブにとっては、小さな文法の間違いは十分理解可能であり、文法的なことよりも話の内容を重視しているのだと思います。このエピソードが教えてくれるのは、細かい文法にとらわれすぎて、会話のリズムや中身を失わせるようなことは避けたほうがよい、ということなのかなと思っています。


考えてみれば私たち日本人も同じですよね。外国の方ががんばって日本語を話していたら、少々間違っていても話の内容はわかります。それを理解して相手と会話をしたほうが楽しいのではないでしょうか。


少し話せるようになってくると、どうしても文法の正確さに気をとられてしまうことが出てきてしまいます。あまりに神経質になると上記のようなことになってしまいますので、細かい文法は少しずつ直そうくらいの気持ちで、「会話自体を楽しむ」、「中身を伝える」ことを意識してみるのがいいのかなと思います。


おそらくたくさん会話していれば、細かい文法も修正されて正しくしゃべれるようになると思います。文法的な間違いを気にするのではなく、話の中身が正しく伝えられるように意識すれば良いのではないかと思います。まずは通じる英語、それから正しい英語を目指してみましょう。




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