海外留学したら英語の発音は良くなるの?


アメリカやイギリスなどの英語圏の国に留学すると、英語力がアップしそうなイメージがありますよね。否が応でも英語のどっぷりと浸れる環境ができあがるわけですから、リスニング力が上がったり、使える表現の幅もアップするなど語学力が上がるかもしれません。


そして、青い目をしたかっこいいお兄さんや金髪美女と英語で会話するだけで、発音もネイティブっぽくなりそうな気がしますよね。


でも、このようなイメージのまま外国に留学したら大変なことになります。あらかじめ実際のところはどうかを知っておくと参考になると思います。このページでは留学と発音の現実を見てみたいと思います。

留学しただけでは発音は綺麗にならない

夢を打ち砕いてしまうようですが、結論を先に言うと、外国に留学したからといって発音が自動的にきれいになるわけではありません。発音だけでなく、それ以外のスキルについても同様のことが言えます。


留学ではないのですが、私も実際にアメリカのサンフランシスコに長期滞在をしたことがあります。そこで日本から留学してきたという若者に何人も出会いました。知り合ったときに、彼らはすでに米国滞在6か月や1年、中には数年という人も混じっていました。


外国人としゃべる環境が整っているから、発音が綺麗になっているだろうと思われるかもしれませんよね。しかし、彼らがネイティブ並みにきれいな発音をしていたかというと実際はそうではなく、日本訛りのある英語をしゃべる人がほとんどでした。


彼らと一緒に行動していると、ネイティブとの挨拶ややり取りなどは、さすが慣れているなと感じる部分も多くありました。くしゃみをしたときに「Bless you.」と言ってみたり、「It's doable.」などと会話で使ってみたりといった具合です。英語圏ではくしゃみをすると自分の魂が体から抜けてしまうというような迷信があるらしく、そうならないように(God)Bless you.(神のお恵みがありますように)と言う習慣があります。日本でもくしゃみをしたときには、誰かが自分の噂をしているというような迷信がありますよね。それと似ていると思います。


また、doableというのは「できる、可能だ」という意味の口語表現です。do + ableなので「できる」となるようです。とても簡単な言葉に思えますが、日本の英語授業では習いませんよね。ネイティブと接して初めて知る表現の一つだと思います。


現地で体験してみないと身につかないこともあるのだと、留学の効果を見たようにも思います。


ただ、それでも発音に関しては日本語の癖が出ていると感じました。ネイティブのような滑らかさはなく、カタカナ英語のたどたどしさが出ていました。


恐らく、英語のコミュニケーションができるようになるために必死で表現を覚えたり、リスニングに時間を割いたりしていて、発音まで手が回っていなかったのが理由なのではないかと思います。


発音を良くしようとする意識が大事のところで紹介しているように、発音も練習して磨いていかないと勝手に良くなるものではありません。


また、留学すると学校の授業で出される猛烈な量の課題をこなすのに精一杯ということもあります。


私もそうでしたが、外国に行くと日本とのあまりの違いにショックを受けると思います。特に外国人とのコミュニケーションがすべて英語になるのは決定的です。まず聞く、話すということについていくのに精一杯で、一生懸命やっているうちに留学期間が終わってしまう人が多いのではないかと思います。



海外に長くいてもダメなことがある

では、留学期間が数年あるような場合や、海外に数年単位で長期滞在するなど、十分に外国に滞在する時間があるような場合であれば発音は良くなるのでしょうか?


これもケースバイケースで、人によると思います。


確かに長くいれば十分に時間があるので、リスニングもできるようになったり、話すことにも不自由しなくなることも多いでしょう。それと同じように、発音もよくなる人もいるようです。


しかし、アメリカに長くいるのに英語の発音がそれほどきれいでない人もたくさんいます。


この違いは何によるものでしょうか?


これは私の推測ですが、ある程度英語でコミュニケーションができるようになってくるとそれで満足してしまい、発音については直す必要を感じなくなるというのが理由にあるのではないかと思います。


自分の話す英語が通じるというのは大きな自信につながります。そのため、発音を直すというところに意識が向かなくなるのかもしれません。


日本に長くいる外国人の場合はどうか?

アメリカやイギリスに長くいる日本人を日本で見かける機会はほとんどありませんが、逆に日本に長くいる外国人を見かけることはよくあります。たとえば、テレビでよく見る外国人タレントなどがそうです。


彼らの日本語の発音を聞いてみれば、外国で長期にわたって滞在したときに外国語の発音がどのように変わっていくのかというのがわかるのではないかと思います。私たち日本人が、アメリカなどに長期に滞在したときに英語の発音が良くなるかどうかを判断する指標になるのではないでしょうか?


では実際にテレビでよく見かける外国人タレントの日本語を聞いてみましょう。


まずは、デーブスペクターさんです。

デーブスペクター 



日本滞在期間:1987年頃から拠点を東京に移しているそうです。
母国語:英語

日本語のボキャブラリーは全く問題ないですね。発音に関しては、外国人によるものだなという印象は受けますが、ほとんど問題なさそうですよね。



アグネス・チャン



日本滞在期間:1972年に歌手デビューして以来、日本で活動されています。
母国語:中国語
こちらもボキャブラリーはほぼ問題ないですね。ただ、イントネーションは中国の訛りを感じます。




パンツェッタ・ジローラモ



日本滞在年数:1998年に来日し日本で活動しています。
母国語:イタリア語

イタリア語の訛りを強く感じますね。



日本に長くいることによって発音が綺麗になっているひともいれば、訛りが残ることがあることもわかります。




発音を良くしようとする意識が大事

留学のところでも少し触れましたが、外国人と話をして意思疎通をとろうとしようとすると英語表現を覚える必要があります。聞き取れなかったらリスニングの練習をしないといけません。


留学して外国人とコミュニケーションをとるようになったからといって、勝手に聞けるようになるわけでもないですし、知らない言葉は口から出てきません。つらい現実ですが、やはり勉強する必要があるんですね。


それと同じように、発音を良くしようと思うと、発音の練習に取り組む必要があります。外国に行っただけで綺麗に発音ができるようになるものではないということなんですね。


留学費用は高くつきますので、発音を良くしたいという目的で留学を考えているのであれば、日本国内でまずは学習することをおすすめします。



発音を直すためにはどうすればいい?

では、ネイティブのような発音ができるようになるためには、どのような方法で勉強すればいいのでしょうか?このサイトでも下記のようにいくつか紹介しています。

子音を意識すれば英語の日本語訛りは劇的に改善する
英語発音は声の出し方を直せばネイティブに近づける
英語の発音を直してネイティブ並みになれる教材


これらのページをご参考にしていただければ幸いです。



関連記事

1.英語表現をネイティブの発音に変換する
2.Phoneticsで英語の発音学習
3.発音を録音して確認する方法1-ボイスレコーダー編
4.英語の発音を録音して確認する方法2-パソコン編
5.聞き取れない理由と対策:英語の発音の特徴